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ツクモの問いに、ワタリは笑い声をピタリと止める。
そしてその刹那、ワタリの唇はニヤリと弧を描いた様な"気がした"。
「…ふふ、とりあえず[沖田総司]を呼んでみたよ。
なんだか面白そうだったからね」
二人の姿は暗闇で影しか解らない筈なのに、ワタリからは、掴み所の無い妖艶な気配が漂った。
クツクツと、先程と同じ笑い声が響く。
ツクモはワタリの変容にゾッとしつつも、平静を保つ為に再び溜息をついた。
そして呟く。
「…どうなっても知らないぞ」
月明かりの綺麗な夏の夜。
二つの影はそれだけのやり取りを終えると、一瞬にしてその姿を消した。
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