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この大陸には、魔物と呼ばれる類は存在しない。
別大陸にはいるとも聞いたが、確かかどうかは分からない。
そういうものがいるならば、討伐など、資金繰りに利用出来たかもしれない。
この大陸で旅人が資金を得るには、街に一時留まり労働をするか、各国の役所にて募集される薬草などの物資を売買するくらいだ。
一応資金を得られる機会があれば迷わずそうしてきたが、長く旅をするのだから資金についての悩みは尽きないだろう。
「ルチル?」
そのうちにうとうとしだしたルチルの意識が浮上する。
部屋の外から、アンバーが名前を呼ぶのが聞こえた。
起き上がり、扉を開ける。
「寝てたか?」
「ううん、まだ。どうかした?」
一応気を使っているのか、控えめな小さい声でアンバーが尋ねる。
首を横に振り、ルチルは話を促した。
部屋の奥にある窓からは、夕刻が訪れたことを赤く染まった空が知らせているのが見えている。
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