終焉の地より

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 背は平均的な男性くらいの身長である青年。  それより頭半分以上は低い、小柄な少女。  軽めの甲冑。短めのマント。  その腰には、女性用の短剣が。  少女、と表現するには、格好だけなら難しいだろう。  鮮やかな金の髪は肩より短く、頼りなさげに揺れ。  けれど、その二重の奥にある、まさに宝石のような、ルビーの瞳、が。  強く、強く、光る。 「別に、ここに用はないわ」  興味なさげな、けれど凜とした透き通る声はぶれがない。  青年は目を細める。 「どこへ、行くんだ?」 「世界の果てよ」  即答。  惑うことすら意味がないと言わんばかりに、少女は堂々としていた。 「世界の果て? あるかどうかも、分からない場所だろう」  少女の言葉に、青年はそう尋ねてみる。  その質問に、そのままの意味はない。  何故なら、少女は迷っていないから。  ならば何故尋ねたのか。  確認だった。 「それでも、行くわ」 「ならば」  青年の薄紅の唇が、弧を描く。  青の瞳が、覚悟を写した。 「共に行ってやる。世界の、果てへ」
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