PastChapter―Ⅱ†朝凪…

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  せっかくの休暇。 余計な邪魔は入らぬよう、あらゆる通信機器は持ち込まず、所在地も出来る限りの特定出来ないようにした。 冷静に考えるまでもなく、そんなあッし等に人を送ったという事は、余程急な事態が起きたとするのが筋。 しかし……やはり、この怒りは収まりやせんねぇ。 『零刀・喰廬磨壊鼻』 「フガッ!? おごォォ!」 「これで、1人アウト」 なんて事はありやせん。 零刀式の運歩法、暗戯でジグラノの前まで移動し、拳を顔面に向けて打ち込む振りをし、反射的に仰け反った瞬間を狙って威力を殺さないままその拳を振り上げたまで。 早い話が、鼻へピンポイントにアッパーをぶちかました。 鼻は骨が筋肉等に守られておらず、それでいて脆く脳に近い人体の中でもかなりの急所。 砕けた鼻骨が鼻腔に飛散し、衝撃は前頭葉を揺さぶる。 喰廬磨壊鼻をまともに食らえば、悶絶する事すら許されずただただ痛みに喘ぐのみ。 「なッ! ジグラノ!?」 「主……いくらなんでも」 う~ん……確かに……ちょいとやりすぎやしたかねぇ~。 ギャラリーはまだ騒いでいやせんが、この状況は芳しくない。 それに、残るは女性の照宙ちゃん。 ここは“紳士的な攻撃”で戦意を喪失させてあげやすか。 「にょほほほ」 「うっ……」    
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