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短剣は何も貫いていない。
幹に小さな傷を残しただけだ。
「…あれ」
可那晦は首を傾げる。
確かにここに札をはりつけたはずなのに。
「『…あれ』じゃないでしょうがあぁあっ」
後ろから殺気が漂ってくる。
振り向くと、紅色の髪に華やかな着物を着た少女が座り込んでいる。
可那晦の式神―花隠冷名〈ハナゴモリ レナ〉である。
「冷名。なんでそんな微妙なところにいるの?」
「あんたのせいでしょうが!何で練習用の札と私を間違えるのよ!避けなかったら真っ二つだったからね」
「ああ…ごめん」
「ねぇ謝る気ないよね?」
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