啄め 悪しき魂を

4/23
前へ
/91ページ
次へ
そして冷名は呆れたように溜め息をひとつ。 「本当にあんたって…私の主人からの命令じゃなかったら、こんな危険な奴の傍になんていないんだからね!」 「ツンデレ?」 「至って真面目ですけど」 冷名は可那晦の父親の式神である。その父親も今は陰陽師を引退、可那晦に冷名を受け継がせた。 二人が言い合っていると、可那晦の傍に置いてあった短剣から人が現れる。 いや、正確には短剣が人になった。 可那晦の短剣のつくもがみ、風隠〈カゼゴモリ〉である。 右が長袖、左が袖無しという一風変わった着物を着ており、右の髪が黒色、左が群青といったつくもがみ特有の髪色をしていて、その髪を右側にひとくくりにしている。 「あぁ~、超いてぇ」 と言い、風隠は自分の額をおさえる。 そして冷名に気づくと… 「何でお前が?」 と明らかに不機嫌そうに訊ねる。 冷名は顔を反らし、明らかに風隠を無視する。
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加