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そして冷名は呆れたように溜め息をひとつ。
「本当にあんたって…私の主人からの命令じゃなかったら、こんな危険な奴の傍になんていないんだからね!」
「ツンデレ?」
「至って真面目ですけど」
冷名は可那晦の父親の式神である。その父親も今は陰陽師を引退、可那晦に冷名を受け継がせた。
二人が言い合っていると、可那晦の傍に置いてあった短剣から人が現れる。
いや、正確には短剣が人になった。
可那晦の短剣のつくもがみ、風隠〈カゼゴモリ〉である。
右が長袖、左が袖無しという一風変わった着物を着ており、右の髪が黒色、左が群青といったつくもがみ特有の髪色をしていて、その髪を右側にひとくくりにしている。
「あぁ~、超いてぇ」
と言い、風隠は自分の額をおさえる。
そして冷名に気づくと…
「何でお前が?」
と明らかに不機嫌そうに訊ねる。
冷名は顔を反らし、明らかに風隠を無視する。
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