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「あらあら風隠さん。強度が軟弱なのでは?」
と皮肉を言う冷名。
「ちょっと冷名!」
慌てて可那晦が止めるが時既に遅し。
風隠の露出した左腕から赤く歪に交錯した線が現れる。
「面白い。やはり貴様とは決着をつけねばな。どちらが可那晦に相応しいかどうか…」
双方、すさまじい殺気を解き放つ。二人の様子を見ていた可那晦は大きく息を吸って―
「やめなさい冷名!風隠!」
と叫んだ。
その瞬間、可那晦の首許が金色に光る。
光がやんだ後、冷名と風隠はその場で硬直している。
「おい可那晦!急に術かけるなって言ってんだろ!」
風隠が硬直しながらも必死に訴える。
「だって術使わないと喧嘩するじゃん」
その一言で風隠は黙る。図星なのである。
「てかさぁ、もうちょっと仲良くしてよ。まだ妖たちが動き出してないからいいものの、戦うとなったら本当に危ないよ」
その言葉に冷名は少しむっとなる。
「何で仲良くしなきゃいけないの?もし妖がやってきたなら、私一人で充分なのに」
「あぁ?そんなのこっちから願い下げだっつーの。本当に可那晦の親父も余計なもん与えやがって」
「口、閉ざしてもいいの?」
可那晦は笑顔だったが、その笑顔は妙に怖い。
なので冷名も風隠も首を横に振った。
「じゃあ解除するから、すぐに冷名は札に、風隠は短剣に戻ってね?」
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