真意

4/5
前へ
/18ページ
次へ
     ◇  そこは葬儀場の仮眠室。  中にいた義兄の両親たちと入れ替わり、私たちは寝台にネネを連れてった。  寝るには硬く薄い布団の上に、私は奥へと先に。  その後ネネを抱きかかえて、喪服のまま横になった、  その手前で、ネネを挟むように義兄が寝台の端に腰を下ろした。 「ミホちゃんは、ずっといてくれるんだよね?」  すでに決められているかのような問いかけに、私は一瞬言葉に迷ったが、 「私は、お仕事とかあるから、ママのお葬式が終わったら帰らなきゃいけないの」  ゆっくり、優しく語るも、ネネは言われている意味がわからないという表情で、私をじっと見つめる。 「ちがうよ。ネネはミホちゃんのこどもになるから。ずっといっしょなんだよ」 「なに……言って」  さっきもそんな事を口走っていた。  母親を失ったショックから気が動転しているのかと思ったが、 「そうだね。ミホちゃんはネネのママになるんだもんな」 「……義兄、さん?」  至極あたり前かのようにネネに応える義兄に、私は目を見開いた。  優しくネネを見つめていた瞳が、 「……っ!?」  我が子をあやす、父の眼差しではなく、
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加