10人が本棚に入れています
本棚に追加
◇
そこは葬儀場の仮眠室。
中にいた義兄の両親たちと入れ替わり、私たちは寝台にネネを連れてった。
寝るには硬く薄い布団の上に、私は奥へと先に。
その後ネネを抱きかかえて、喪服のまま横になった、
その手前で、ネネを挟むように義兄が寝台の端に腰を下ろした。
「ミホちゃんは、ずっといてくれるんだよね?」
すでに決められているかのような問いかけに、私は一瞬言葉に迷ったが、
「私は、お仕事とかあるから、ママのお葬式が終わったら帰らなきゃいけないの」
ゆっくり、優しく語るも、ネネは言われている意味がわからないという表情で、私をじっと見つめる。
「ちがうよ。ネネはミホちゃんのこどもになるから。ずっといっしょなんだよ」
「なに……言って」
さっきもそんな事を口走っていた。
母親を失ったショックから気が動転しているのかと思ったが、
「そうだね。ミホちゃんはネネのママになるんだもんな」
「……義兄、さん?」
至極あたり前かのようにネネに応える義兄に、私は目を見開いた。
優しくネネを見つめていた瞳が、
「……っ!?」
我が子をあやす、父の眼差しではなく、
最初のコメントを投稿しよう!