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「そうだろ?」
獣じみた、男の眼をしていた。
「にっ、んんっ!?」
突然後頭部を掴まれ、無理やり引き寄せられたかと思ったら、
「ふっ、あっ……」
激しく、絡め取られるような口付け。
子供の居る前でと、必死に下に目を向けると義兄が開いた掌でネネの眼前を覆っていた。
「何、余所見してるんだい」
「やっ!?」
体勢が崩れて、義兄にの腕の中に倒れこんでしまった。
咄嗟にネネを踏みつけないように体を浮かし、思わず義兄を見上げると、塗れた唇を舌先で舐め上げていた。
こんな時ですら、ゾクリと体が戦慄く自分に嫌気がさした。
「そんな顔しないで」
「あ、当たり前でしょっ」
「これは、君の姉さんが望んだことなんだから」
「え……」
何、言ってるの?
「彼女は何よりも君を優先してきた、死ぬその瞬間まで、それは変らなかった」
射抜くような視線を向けたまま、淡々と語る義兄の表情は崩れず、言い放った。
「彼女は、この子に言い続けた」
ミキは、次のママはミホだとネネに植え付けたんだ――。
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