10人が本棚に入れています
本棚に追加
◇
私は気づいたら、義兄の頬を平手打ちにしていた。
だって、ネネを、姉が、そう躾けたって。
「何、馬鹿なこと言ってるの。ネネは、お姉ちゃんの……」
「ミキの子供だ。紛れもなく、俺との間の」
その言葉に、ずきりと胸が痛む。
このごにも及んで、私はまだこの男が……。
「この子はミキが産んだ子。けれど、この子は……」
――ミホの為に産んだ子だ。
「……は?」
頬を叩かれた勢いで、俯いたままの義兄。
私はその事の意味がすぐに理解できなかったけど、
「……まさか」
ひとつだけ思い当たるふしに、私は両手で口を押さえて俯いた。
「まさか……お姉ちゃん」
「……」
「義兄さんも……?」
「……」
「お姉ちゃんも、アンタも!!」
最初のコメントを投稿しよう!