プロローグ

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「まあ、そうとも言えるし、違うとも言える」 ともう一人の少年が答えた。  彼は最初に口を開いた優しげな雰囲気を持つ少年とは違い、髪を短く立てていて、顔には大人びた冷たさと無骨があった。声は冷静だ。まったく対照的なその二人だけが、夕陽の差し込むこの教室には居た。  二人の距離は近いようで、遠いようでもある。優しげな少年は教室の最前線、黒板付近に立っていたし、大人びた“彼”は教室の真ん中に立ち、少年を見詰めていた。  
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