【鬼】現る 喰らうは心

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「心配なんてしてない。そんな風に育てた覚えはないからな。……それじゃあ私はもう行くが、しっかり勉強するんだぞ」 父親が立つ。 「うん、いってらっしゃい」 「あなた、気を付けてね。いってらっしゃい」  ――朝の何気ない風景だが、今日は違う。雄馬は父親の一言に自分の決意を貶されたように感じた。ナーヴァスになっていたのだ。  今にも、想像するだけで鼓動が早くなる。不安混じりの高揚感。  
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