【鬼】現る 喰らうは心

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 ――雨は登校の最中で雷雨へと変わり、肌寒い気候と相まって雄馬の足取りを重くさせた。傘を打つ雨音と雷鳴の他には何も聴こえない。騒々しくも妙に閉塞感のある世界。  学校の付近まで来ても、雄馬の他に生徒は誰も見当たらなかった。休日だっただろうか、と彼は考えてみるが、平日に違いなかった。  雨の所為で他の生徒とは躊躇したのかもしれない、確かに雄馬はかなり早い時間から登校する生徒ではあったが、それでも今日は異様に人気を感じない通学路だった。  
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