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雄馬は机に鞄を置く。それから二度、深呼吸をする。スー…ハー…スー…ハー……脳に酸素を送り込み、落ち着け、落ち着け、と自分に言い聞かせた。
「真貴也、実は話が有るんだ」
「…奇遇だな。俺もお前に言わなきゃいけない事が有るんだよ」
「言わなきゃいけない事?」
「ああ。俺、優子と付き合うことになったから、お前に一言いってこうと思ってな」
……雨音が鮮明さを増す。それは雄馬の意識が逃避を選んだことによる錯覚。彼は真貴也の言葉を受け止めきれず、ただ呆然と立ち尽くす。
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