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「まあ、な。いきなりで驚くわな。それに謝らなきゃいけねえ、抜け駆けして悪かった。お前が優子に抱いてた気持ちに気付いてたのに、先に告っちまって」
真貴也は罰の悪い表情で、苦笑いを浮かべながら鼻の先を指で掻く。雄馬はまだ何も言えない。
「ダメ元だったんだぜ? 優子はお前みたいな優しい奴が好みだろうって思ってたからよ。……卒業したら俺達も離れ離れになるだろ? だから、な。ダメ元だったんだ」
――稲光、刹那後に激しい雷鳴が轟く。近くに落ちたらしかった。その衝撃で雄馬は我にかえった。自分が今どれだけ惨めで無様な姿を“彼”に晒しているのか、それを認識したのだ。取り繕わなければ…。
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