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「シュンちゃん。まだ姉ちゃんの事好き?」
「え、」
まだ彼は窓の外を見ていたが、
「どうなん?」
その問いかけは、俺に向けられていた。
彼がどういう答えを欲しているのか、思い浮かぶのはいくつかあったが、
「彼氏を、取り返したいんだ?」
俺は心底意地悪に、言葉を吐き捨てた。
だが彼は俺の態度にうろたえることなく、静かにこちらへ目を向けた。
栗色の細い髪が軽く揺れる。
「俺に姉さん取り返させて、元の鞘に納まりたい?」
俺を見つめるその淡い瞳は、彼の姉を思わせ、少し居心地が悪い。
「その算段に呼びつけたのかい?君は、」
つい少し前まで、誰よりも愛していた、いや、未だに想いを募らせている彼女への未練を思い知らされる。
俺はそれが悔しくて、十も下の彼を睨みつけていたら、
「アンタ、もしまだ姉ちゃん好きならさ、」
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