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「本題に入ろうか」
◇
何を言っているのか、意味が解らない。
「もう直ぐデザートが運ばれてくるから、それまでに答えを決めて」
「何、言って……」
私は今しがた言われた事の意味が解らず、ただうろたえるばかりでシュンスケを見つめた。
彼はさほど先ほどと変わらぬ態度で「冷めるよ」と、私に箸を進めるよう促した。
私はそれでも手がうまく動かせず、更にさっきの言葉を問い返そうと口を開いた。
その時――、
「失礼します」
「!?」
私は耳を疑った。
「食後のデザート、お持ちいたしました」
目を向けるのが、怖い。
シュンスケを見やると彼は笑みを浮かべ、声がする方へ目を向けていた。
それが何を意味するのか解らず、余計に怖くて、
「偶然ですね、ユナさん」
「……っ」
私の名を呼ぶその声に、思わず手にしたままの箸を床に落としてしまった。
顔を向けなくても、誰なのかわかる。
「ん?ユナ知り合い?」
「……」
黙ったまま俯く私に察したのか、
「あぁ、君が……」
シュンスケは静かにそう呟いた。
静かな沈黙が流れる。
一つ増えた気配は消える様子もなく、こちらに近づいてデザートの小皿を静かにテーブルの上に置いていく。
急速に乾いていく喉が中で張り付きそうで、グラスに注がれていた水を飲もうと手を伸ばした。
けれど、
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