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「!?」
「大丈夫ですか?」
グラスに伸ばしたはずの手が、何故か掌の中に握られていた。
その手を握っていたのは紛れもなく、
「顔色がよろしくない。手が震えている」
先日まで、弟の彼氏だった、カズトその人で。
「なっ!?」
何を思ったのか、手に取った私の指の付け根に唇を落としてきた。
「な、何すっ」
「先日のお返事、頂いてなかったので」
「ば、何っ!私は!!」
真っ直ぐに見つめてくる漆黒の瞳に、私は戸惑い、意気が上がって言葉がうまく口に乗せれない。
私はどうしていいかわからず、咄嗟にシュンスケに目を向けたら、
「そのまま言えばいい。君の気持ちを、」
「な、それはっ」
「別に直ぐ結婚してくれってわけじゃないんです。俺が大学卒業するまで待っていただければ、」
「そ、そんなことじゃなくて!!」
「俺は待てないな。挙式は後でも、少しでも早く入籍したいし」
「シュンスケっ!!」
一方的に答えを押し付けてくる二人に、私はまた泣きたくなって唇を震わせていたら、
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