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「ユナ、君が許せなかったのは、君自身だろ?」
「……え、」
私は、何を言われているのか解らない。
「シュンスケ……何言って」
「本心に気付いた君が、一番許せなかったのは……、」
それ以上彼は何も言わなかった。
ただ柔らかく微笑んで、寂しそうに黙ったままの私を見つめた。
「何年君と一緒に居たと思うの」
「しゅ、」
「これは、彼と一緒に食べなさい」
シュンスケはそう言って席を立つと、壁際にかけていたジャケットを自らハンガーからとって肩にはおった。
私の手を握ったままのカズトが、
「婚約者を置き去りにするんですか」
背筋を伸ばしてシュンスケの背中をじっと見据える。
その低く、威嚇的な声にシュンスケは振り返ると、
「婚約者?」
首を傾げるシュンスケに、カズトが顔を顰めた。
「君は、何か勘違いをしているようだ」
「……?」
「彼女は」
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