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オレは、紅戸 一歩(くど いちほ)。
学年は高二だ。
えっ、何をしてるかって?
それは……
「――ちゃん?――紅ちゃん!!」
「うぉあぁ!? 」
「どうしたの?紅ちゃんの番だよ?ほら、早く引いて」
「あ、ああ……」
そうだ。
ババ抜きだ。
ババ抜きをしてるんだ。
「……右かな?」
オレは残り二枚となった明日香の札に手を伸ばす。
結果は……
「やったぁ!アタシの勝ち!!」
つい、見とれてしまいそうな笑みをオレに向けてはしゃいでいるコイツは明日香。
銀 明日香(しろがね あすか)だ。
ちなみにさっき呼び掛けてきたのも彼女。
オレのことは紅(あか)ちゃんと呼ぶ。
整った顔付きに、大きくて澄んだ眼が見る者を引き付ける。
俗に言う美少女ってヤツだ。
腰まで届く茶髪の長い髪はいつも一つに束ねてある。
オレはスタイルの良し悪しがよく分からないのだが、かなり良いとの評判らしい。
高一の時からの付き合いだ。
……異性としての付き合いじゃないからな。
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