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何はともあれ…
「良かった」
しかし、赤黒い髪にふちどられた顔(3分の1しか見えないが)は青白い。
暖めた方が良い、と、凪は再び男を全力で引きずり、洞穴の出口手前まで連れていった。
手早く濡れたマントをぬがせる。
その下は、なにか映画で見たことのあるような衣装だった。
革ブーツに、ゆったりしていないズボン、薄汚れた襟シャツ。
さすがにズボンはそのままに、シャツとブーツだけ脱がせ、
不本意ながらルー爺につくってもらったシーツ製シャツの余分を
持ってきていた狩猟用の弓矢の矢尻で切って、タオル代わりにする。
男の鍛えられた上半身は、古そうなのも真新しいのも、傷だらけだった。
呪われたような髪の色も、謎の包帯も、日の下で見ると異常だった。
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