-ある男-

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男が虚をつかれている隙に、凪は首元の短剣をはらいのけ、 そばにあった燃えている大振りの枝を男につき出す。 男は素早く凪と距離をとった。 焚き火の向こうで、赤い瞳が困惑したように揺れている。 「なんて恩知らずなことを!!恥を知れバカ!!」 凪は半ばパニックに陥っていた。 自分でも驚くほど、声が出る。 「わたしはあなたを助けただけよ!!毒なんか飲ませるわけないでしょバカ!!」 心なしか、焚き火の炎の高さが上がる。 「助けた…?」 男は構えた体勢のまま、しかし力なく短剣を下ろした。
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