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江南雅和は迷っていた。夏休みのバイト代で買ったハードディスクレコーダーの時刻表示は08:00。
今、ベッドから抜け出せば、八時半から始まる心理学の講義に間に合う時間だ。
心理学は出席重視という噂なので、試験の成績が悪くても、可くらいはもらえるかもしれない。
一瞬、背中が離れたが、重力に逆らうだけの力はなく、再び接触することになった。
前回の講義には出席した。たしか、大講義室の中段くらいに座ったはずだ。隣りに座っていたのは…。
Σ( ̄□ ̄)!
雅和は布団を跳ね飛ばして起き上がった。
奥二重ながら、くりっとした瞳と、ミディアムロングで少しくせ毛っぽい柔らかそうな髪、そして、小ぶりながら程よく熟したさくらんぼのような唇。
とにかく、雅和の好みそのままの女性が座っていたのだ。
名前も、学部学科も知らない。でも、どうにかして、知り合いくらいにはなりたい女性だ。
女性が一人しかいない工学部機械工学科に在籍している雅和にとっては、心理学のように学部学科関係なく受講できる講義は貴重だ。
雅和は素早く電気カミソリでヒゲを剃った後、服を着替え始めた。
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