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「人間がいない……? って、妖怪の森って言うんだから人間が来ないのは当たり前だろ」
上条が言うと、魔法使いの少女は『それもあるが』と前置きをして、
「紅い霧のせいだ」
そう答えた。
「今、ここいらで発生している紅い霧は、普通の人間には悪影響なんだ。しかも人里までそいつが降りちまってる。……お前、なんで立ってられるんだ?」
説明中、突然気付いたように上条をじろじろと見る。
「あ、あぁ。俺、ちょっと特殊な能力持ちなんだ」
だから大丈夫、と上条は答えた。
するとルーミアが両手を広げる。
「まぁ、いいわ。二人まとめて……いただきまーす」
言い終えた瞬間、ルーミアが動き出す。
元々7mほど離れていたのを、一気に詰めてくる。
そして、
闇符「ディマーケイション」
大量の弾幕が円を描きながら上条たちに向かって来る。
「よし、迎え撃つぜ!」
だが、上条は少女と弾幕との間に立つ。
「ちょ、お前、何やってんだ!?」
少女の声も聞かずに右手を突き出す上条。
そしてーー、
パリーン!
「「っ……!?」」
全てとは言わないが上条たちを襲う筈だった直線上の弾が、彼の右手に触れる度に消えていく。
「頼む、迎撃を!」
「お……おう!」
魔符「スターダストレヴァリエ」
魔法使いの少女の巨大な星を模した弾幕が、自分の弾幕を打ち消されて慌てたルーミアに直撃する。
煙が晴れる頃には気絶したようで地面に倒れていた。
「やったか……」
二人だと楽だなー、と上条は適当に考える。
魔法使いの少女は彼を怪訝な表情で見つめ、口を開いた。
「なぁ、お前一体何したんだ? 弾幕がこう、パリーンってぶっ飛んでいったようだったが」
「言ったろ、俺には不思議な力があるって。相手が異能の力を使うなら、それを打ち消せるんだ。例えそれが神様の奇跡でもな」
「異能の力……ねぇ。あ、私は霧雨魔理沙。普通の魔法使いだぜ」
「魔法使いってだけでも十分普通じゃないと上条さんは思うんですが。俺は上条当麻。よろしくな、霧雨」
「なんか……霧雨って呼ばれるのは慣れないぜ。別にいいけど」
そう言って魔法使いの少女、霧雨魔理沙は左手を差し出した。
握手、という事なんだろう。
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