嵐の予感

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私はいつものように保健室の窓から外の景色を眺めていた。 この入鹿学園にきてから、季節はもう冬。 窓から見える校庭の木は、葉を落とし寒そうに枝がむき出しの状態だ。 それにしても・・・・。 本当にあっという間に時間が過ぎてしまったっていう感じ。 凱君との婚約に始まり、はいろいろなことがあったっけ。 そんな私も、今ではすっかり落ち着いていて平穏な日々を送っている。 凱君はあいかわらず口数は少なく俺様的態度だけど、二人の恋も前進してる?って感じかな。 もちろん、純潔を守るって言うじいちゃんとの約束は守っているから心配ご無用。 少し前のあのバタバタは、今ではすっかり昔のことみたいに思える。 だけど記憶は戻らないまま。 それだけが気がかりではあったんだけど、それは焦らずゆっくりって思ってて。 とにかく、ずっとこのまま何事もなく過ごしていきたいって思ってたんだけどね。 でも、私のささやかな願いは聞き入れられそうもなかった。 一人の男の出現が、私たちの仲を大きく変えようとしていたのだから・・・・。
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