51人が本棚に入れています
本棚に追加
「失礼します…」
部屋の襖の向こう側から聞こえた。
「なんじゃあ、峰吉か!」
その声の主は、近くの書店「菊屋」の小僧峰吉だった。
「中岡様。薩摩屋からの伝言をお預かりしてきました」
峰吉は懐から手紙を取り出し、中岡へ手渡した。
「おぉ! ご苦労だったな!」
中岡は近江屋へ来る途中、菊屋へ立ち寄り、峰吉に薩摩藩御用達の店「薩摩屋」に手紙を届け、その返事を近江屋へ持ってくるようにと命じていたのだ。
「私は、中岡様と坂本様をお慕いしております。ご用があれば何なりとおっしゃって下さい」
峰吉は深々と頭を下げて、部屋をあとにした。
最初のコメントを投稿しよう!