軍鶏

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「峰吉―! すまんが腹が減った。軍鶏を買ってきてくれ」  竜馬は一階にいる峰吉へ言った。 「お―! 軍鶏か―! いいなぁ、土佐を思い出すの?」  中岡も賛同した。  土佐藩では、軍鶏を使った軍鶏鍋は有名な郷土料理だ。 「ほな私は帰るき。峰吉と途中まで一緒に行きます」 「なんじゃあ、岡本も一緒に軍鶏鍋食うて行け」  竜馬は岡本が帰ろうとするのを止めたが、岡本は下宿している薬屋「亀屋」へ戻らなければいけなかった。 「ほうか残念じゃのう……なら、また今度みんなで軍鶏鍋やろうぜよ」  ここで岡本は、残念そうに峰吉と共に近江屋を出た。  峰吉の向かった店は、鳥新という亀屋のすぐそばだった。  鳥新の主人は、「すぐに軍鶏をつぶすから、しばらく待ってくれ」と言い、峰吉は二、三十分待ちぼうけを受けた。
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