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「なんとか間に合ったか……」
そう一息ついた時だった。
「竜馬! 何を慌てちゅう?」
竜馬が後ろを振り向くと、そこには中岡が立っていた。
「おぉ! おぉ! 中岡来ちょったがか?」
「ちょうど今着いた所じゃ」
中岡は左手に持っていた日本酒を差し出し、「まぁ、これでも飲もう」と言った。
竜馬も「おぉ! 久しぶりの土佐物の酒じゃな」と喜び、部屋へ案内し火鉢を囲んで座った。
この中岡慎太郎とは、竜馬が世の大仕事を起こす前からの旧友で、今日のように互いに酒を酌み交わしながら、語り合う事は珍しくなかった。
「して、中岡? 話しってのは、なんじゃあ?」
竜馬が聞くと、中岡は酒を置き言った。
「宮川助五郎を知ってるか?」
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