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竜馬と中岡が雑談を開始して二時間ほど経過した。
窓から外を覗くと、もう完全に光りはない。
怪しげに、夜の不気味な雰囲気だけが漂っていた。
「う~む…体調がよくないのう…」
竜馬は額に手を当てた。
「なんじゃあ、顔が赤いぞ! 熱があるんじゃないがか?」
中岡は竜馬を心配して、船来絹の綿入れと黒羽二重の羽織を、店の者へ言って取り寄せた。
「これでも着ろ」
竜馬は中岡から渡された着物を、既に着ていた真綿の着物の上に着込んだ。
「すまんの…中岡」
中岡は少々心配になった。
竜馬は、このところ忙しく国を駆け回っていたので、疲れが出たんだろう……。
竜馬の夢は、自分の船で世界中を旅する事だ。
今まで国を第一に考えていたため叶う事は無かったが、もうすぐ新時代になり、やっとその夢が叶いそうなだけに中岡は心配で仕方がないのだ。
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