送り主って?

7/20
前へ
/25ページ
次へ
「私の仲間達、吸血鬼属は、全滅した」 「ぜん、めつ……?」 どういうことだ、と明希は思う。 この世界には、人間だけでなく、裏の奥深くにこのような世界があったっていうのか? 明希は、信じるよりも先に疑問が生まれた。 俺はその世界に干渉しなくてはいけない、と。 「私は吸血鬼の生き残りなの。だから……」 「だから、俺のとこに来たわけだ」 「……」 「なんで俺なんだよ」 「アナタの血は、この世界の珍物の中でも最上級並みに珍しいから」 「珍しい? 俺の血が?」 俺の血は、普通の人間と同じく、ヘモグロビンという色素で赤く、役目も同じはずだ。 だが、なぜ……? 「アナタの血を吸った吸血鬼は、予測できない程の力を手に入れることができる」 「そんなに、俺の血は凄いのか?」 「うん」 ……血……か。 だから、どうぞ吸いなさい、なんて吸わせるわけにはいかない。 それに、 「お前を狙う連中は?」 「……騎士の狩人……」 「……騎士?」 「騎士と言っても、普段は鎧など着ずに、その町にカモフラージュしていて、見つけにくいんだ」 「なんで、全滅なんか……」 「騎士にとって、私達吸血鬼は邪魔なの」 ……邪魔……。 それは徹底なる排除するための的となる言葉だ。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加