送り主って?

13/20
前へ
/25ページ
次へ
       2 学校へしぶしぶ通った明希。 担任の品家とは、とても人使いが荒いことで有名だ。 今日の雑用では、プリントのコピー、品家の机の掃除、貼り出しなどなど。 いつしか時間は五時を過ぎていて、町がオレンジ色に染まりはじめた。 そろそろ、暑い夏が始まるのだ。 明希的には、冬よりも夏の方が楽なのだが、辛い季節には変わりない。 もうすでに夏服でもある。 疲労が身体の荷物となる中、明希は通学路をひたすら歩む。 その時だった。 信号のない狭い十字路を渡った時、目の前に一人のスーツの男がいた。 一瞬、昨日のスーツ達を思い出したが、どこか雰囲気が違う。 それを明希は無視してその場から去ろうとしたが、その男は話しかけてきた。 「……風裂明希くん、ですね……」 その声は、意外に美声だった。 「そ、そうっすが」 明希はピタリと足を止める。 男は明希の目を見て放さない。 「なんか、用っすか」 「そんな難しい顔をせずに安心してください。なぁに、ただの交換こですよ」 「こ、交換こだと?」 「はい、貴男の家にいる吸血鬼のことです」 「なんだとッ!」 コイツ、まさか……。 「もう貴男は聞いたかもしれませんが、私は騎士団の一人です」 「クッ!!」 「大丈夫です。私は争うために来たわけではありませんので」 「……交換、ってなんだよ」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加