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次の日。
今日は日曜日のせいか、いつもより遅めに起きてしまった。
明希は、白亜な階段を降り、リビングへ向かう。
そのリビングには、兄貴の姿はなかった。
すると、テーブルの上には一枚の紙切れが置かれている。
その紙には、
『お兄ちゃんはアフリカに行きますゆえ、長い間帰ってこないが、寂しがるなよ!!』
との殴り書きが。
「……ふざけやがって」
と、吐き捨てた。
寂しいわけではないが、兄貴いないと、いろいろと面倒なのである。
それは主にメシの準備などの家事だ。
大抵、兄貴の仕事は週に二回しか通わない、楽すぎるホストをやっている。
俺的にはそうイケメンではないと思うのだが、そのホストクラブでは『幻ノホスト』と呼ばれている程なのだ。
そりゃ日本よりも外国にいる時間の方が多いわけだが。
それでも辞めさせないというクラブが不思議でしょうがない。
そしてふと、顔を洗う拍子に自分の顔を見てみた。
イケメンと言われ続ける兄の弟の顔がそこにある。
自分ではわからないが、どうなんだろうな、と思う。
実際、モテ期はまだこない。
(いや、もしかしたら無いのかも……)
と、洗面台で肩を落とす明希。
その時だった。
ピンポーン。
とインターホンが鳴る。
一瞬、兄貴が忘れモノでもしたのか? なんて思ったが、もう飛行機の時間は過ぎていることだろう。
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