送り主って?

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「はーい」 と、玄関を開ける。 するとそこには、宅急便の配達員が立っていた。 「すみません、宅急便の者ですけど。ハンコありますか?」 「え、っと。誰宛て?」 「風裂明希様です」 「あ、わかりました」 (なんで俺宛てだァ?) なんて考えながらリビングに戻り、ハンコを取り出す。 疑問を抱いたまま玄関に戻ると、二人で何やら大きな段ボールを運んできていた。 「……えっと……送り主はぁ……?」 「それが、書かれていないんですよ」 「は?」 (書かれて、ない?) 「どうやら送り主さんが書かないように、と本部へ連絡したらしいんです」 「そ、それを教えていただくことは……」 「お客様の個人情報はお教えできませんから」 「で、ですよねー」 と、速やかにハンコを用紙に押して段ボールを受け取った。 宅急便の配達員は直ぐ様出ていき、そこには明希だけが虚しく残される。 「ってかなんだよ……こ、れ……めちゃくちゃ重いッ……」 重さ的に四十キロ前くらいだろう。 「送り主さんが分からないとは……怪しいな……」 そっとリビングの真ん中にその段ボールを置いた。 ズシッと柔らかいものだろう、硬い音はしなかった。 (あ、開けてみますか……) 中から新型時限爆弾や猛獣が出てきそうな気がしてならない。 「……だ……だが、開けなくてははじまらねぇし……」 ふざけるなよ、と言いながら段ボールのガムテープを剥がしてゆく。
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