終わり

5/5
前へ
/127ページ
次へ
 玉座の横に置かれた、丸くて小さくて白いサイドテーブルの上の古びた本に手を伸ばす。  この白い本は歴史を記すもの。例え時が巻き戻されようとも、ここに記された事実をなかったことにはできない。  ――狂え、狂え。腐った世界よ。  誰かが云った。今の女神は『失敗作』だと。  それを否定するつもりはない。元から私は……――  ――狂え、狂え。哀れな子供たちよ。  その身に刻め。世界が巻き戻された真実を。  この世界こそ『失敗作』であるということを。  気の狂った『失敗作』である女神が生み出した狂った世界。  これを『神の失敗作』と云わずに、なんと云うのだろうか。 .
/127ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加