夢の御告げみたいな展開

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 僕は将来、自殺願望の詩人になりたいと思う。  毎日毎日美しい言葉と醜い言葉を乱用して、死への憧れと狂気を尊ぶこの重すぎる思いを高音で甲高い気持ちの悪いメロディで繋いで、意味のない文章を築き上げたい。  文体だけで、文字だけで、それらを読み上げるリズムだけで、誰かを殺せたら。  そしていつかその詩が僕自身を殺せる日が来るようならば。  ……僕はきっと、幸せになれると思う。  ――なんて、ね。  僕がこういった感じのぶっ飛んだ想像を膨らませるのは、入浴中だけ。  僕にはお得な安心機能が付いている為か、人様に迷惑をかけない仕組みとなっているので妄想は膨らませるだけで放出はしない。  これがモットー。  それから素敵だと思うが、僕は自殺願望の詩人になるつもりはない。 「僕は将来、自殺願望の詩人になりたいと思う」  なんて云ったけれど、云ってみたかっただけであって本心ではない。  けれども、『本心』もちゃんと含まれている。  僕は風呂が大好きだ。生活の中で一番何をするのが好きかと聞かれたら真っ先に「入浴と睡眠」って答えるね。  睡眠も好きなんだよ。 .
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