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彼女は何を想っただろう。
友が死んだと言うのに冷たい男だ。
だとか。
両親は何を想っただろう。
息子が死んだというのになんて男だ。
だろうか。
どれにしたって構わない。
ヤツはバイク乗り。
常人には理解できない人種だからさ。
そして俺もバイク乗り。
人からは理解できないモノを持っている。
ヤツの意思を継ごうと思った訳ではない。
ただ俺がそうしたいと思っただけの事だ。
気づけば30も終わり、目の前は40。
降りようと思ったことは一度も無いが、ずっと乗ろうと思ったこともない。
いつまで乗れるか、それを楽しみにしているだけだ。
こんな人生だがいまになって失敗したワケじゃない。
べつに昔っから失敗してるってワケでもない。
ただ"どっか"で道を間違えちまっただけだ。
失敗だらけの人生さ。
だれかに誇れるモンでもない。
それでも自慢気に走り出す。
我が名はバイク乗り……。
世界を代表する幸せ者の名さ。
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