TWIST on the ACCELERATOR

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あれは何時のことだったか。 十何年か前にダチのガキにバイクの乗り方を教えてくれと頼まれた。 別に断っても良かったんだが、なんかこう、俺の"大人"ってヤツが囁いて首を縦に振っちまったんだ。 しかしまぁ、いざ教えるとなりゃバイクの乗り方なんてのはゴマンとあらぁ。 仕方ないんで基本的な事だけ優しく丁寧に教えてやった。 「コイツとそれがブレーキ。それがアクセル。そいつがギアでコイツがクラッチ。 あとはこいつらのテンションを合わせてやれば、この200キロの鉄のカタマリは走り出す…………。 ま、いっちょやってみな」 って優しく言ったは良いんだが、これがエンストばっかで進みゃあしねぇ。 これにはいくら寛容なおれでもカチンと来てな。 思わず言っちまったのサ……。 「まだ……まだ。 ゼンゼンまだだよクールボーイ。 ったくよぉ。 走り出しもしねぇ内からビビってんじゃねーよ」 ってなあ。 そしたらそのガキ、次の瞬間レッドゾーンまでタコ踊らせてクラッチ繋ぎやがった。 もちろんウィリーどころの話じゃねぇ。 バイクはその場で半回転。 ガキはバイクの遥か後ろだ。 呆れと怒りで言葉を発することすら出来ねぇのに、そのガキはバイクの近くまで来るなりこう言った。 「えへへー! やっと走り出したぜ!!」 とかなぁ……。 まったく、呆れ果てて、 「バーカ」 としか言えなかったサ……。
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