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1時間目に愛川さんと話をして分かりました。
たぶん……彼女は僕のことが好きだ!
大きな理由は2つ。
1つは、昨日の夜に言っていたこと。無理とバッサリ断られたが、初めての告白で嬉しくないことはなかった。
2つは、愛川さんが今日は授業のない家庭の教科書しか持ってきていないということ。1つ目とかぶるが、告白されて嬉しくないことはなかった彼女は僕のことが好きになってしまい、わざと教科書を忘れて席をくっ付けた。
そもそも、朝のホームルームが始まるまでにはいつも来ていたと思うし、時間には余裕があるはずだ。
まぁ、どっちも僕の仮説なんだけどね。
結局僕は、4時間目の体育を除いた5時間は、僕が愛川さんに教科書を見せていた。その間も、少しだったが彼女と話をした。
そして放課後、僕は池っちにうるさく言われる前にトイレ掃除に向かった。
「あっ、いたいた」
「あ、アンタ一体なにしに来たのよ!?」
酷いな……。
「トイレ掃除だよ。愛川さんと同じ班らしいし」
「そ、そうなんだ!」
まさか今知ったのか!?
「そうだ! 愛川さんに話があるんだけど、後でダメかな~?」
「別にいいわよ。ここで待ってるから」
「ありがと」
愛川さんの顔が急に赤くなった。
「れ、礼なんていらないわよ!」
愛川さんは女子トイレに駆け込み掃除を始めた。それと同時に同じ班の人達がやって来た。
「今日は早いんだな」
なんだこのタイミングのよさは。まさか……!?
「池っち、なんかありがとな」
「なんのことやらー」
適当に水を撒き、掃除終了。トイレを出ると愛川さんが壁にもたれかかって、腕を組んで指をトントンさせていた。
「お待たせ」
「なんのよ――」
「好きだ!」
「うっさい黙れ死ね!」
愛川さんは足下に置いてあったカバンを担ぐと、廊下を飛び出し、正門のある方向へ走って行った。今度こそオッケーかと思ったのに……。
プルルル,プルルル
ポケットから携帯を取り出すと、メールではなく電話だった。それもなんと愛川さんからだったのだ!
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