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「アンタの部屋ってそこなの?」
「まぁな。1人暮らしだから全部僕の部屋みたいなもんだけど」
「1人暮らし!? 今はそんなことどうでもいいわ。もしかして、昨日のアレ聞こえてた?」
『アレ』とは昨日の夜に発狂していたことか。
「『アレ』って?」
「知らなかったら別にいいのよ」
『実は知ってました~』とか言ったら一体なにをされるのやら。
「ふ~ん。そうそう、一応確認しとくけどさ、僕と愛川さんは『友達』ってことだよね?」
「そうよ」
「よし、これから愛川さんに僕のこと好きになってもらえるように頑張る!」
「か、勝手にしときなさいよ。さぁ、早く帰んなさい!」
「えーっ――ちょっ、なにすんの!?」
愛川さんに背中を押され無理矢理追い出される。
「さっさと帰れ!」
「1人で寂しいんじゃないのか?」
「……ちょっとの間だったら話してやってもいいわよ!」
なんでいっつもキレ口調なんだ?
「よっと」
自分の部屋に無事生還できた僕は、愛川さんの部屋に入れた喜びと満足感でいっぱいだった。
「ちょっと、なにボーッとしてんのよ!?」
「あぁ、悪い。とは言っても話すことがないような……」
「なんか喋りなさいよ!」
「そういや明後日テスト発表だよね?」
明後日の金曜日は1学期の中間テストの発表日である。
「『教えてくれ』ってこと?」
「できれば……」
「あっそ!」
愛川さんは頬を膨らませ勢いよく窓を閉めた。その直後、隣の部屋の明かりが消えた。もしかして怒っちゃったのか?
「さて、勉強しとこっかな」
まだ眠くないし、1時間くらいテスト勉強でもするとしよう。
「……あ、寝てたし」
机に倒れたまま寝てしまっていたようで、腰が痛くてたまらない。
「いてー」
腰に手を当て、大きなあくびを1つ。
「ん、雨降ってるのか」
耳を澄ませば、雨がアスファルトを叩く音が聞こえる。傘差しは危ないから、こういう時に学校が近くてよかったと思う。
「今日はパンでいっか」
雨だとテンションが少し下がる。料理を作るのが面倒になる。
あんパンをかじりながら今日の授業の準備を始める。今日は体育の授業があれば教室で自習だったかもしれない。
「いってきま――」
「うわっ! なにやってんのよ!?」
勝手に人ん家の玄関に上がり込んでいるあなたが言うセリフですか?
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