Ep.02 愛の突撃大作戦!

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ソイツこと藤堂清孝(とうどうきよたか)は、『北斗の拳』のマンガを全巻揃えていて、体格がケンシロウみたいなヤツだ。 コイツとは家が近所で昔から仲がいい。見た目はあれだが、中学の時は学年でトップクラスの学力を誇っていた。 僕にはなにかと『北斗百烈拳』とか『残悔積歩拳』とかやってくるが、死んだことは一度もない。 とりあえず、『北斗の拳』が大好きで隣のクラスで一番喧嘩が強くてかしこい不思議なヤツ。 「かしこいのに、なんでお前はそんなにバカなんだ?」 「妹に勧められてからハマっちゃってさ~」 妹も『北斗の拳』に興味があるのはビックリだ。それを勧める妹も……。 「今日日直だから先に行くな~!」 傘も差さずに元気なものだと思う。 愛川さんを追うように、早足で教室に向かうと、ちょうど彼女がドアにカギを通していた。 「おはよ、愛川さん」 「おはよう……」 話しかける度に赤くなる愛川さんが凄く可愛い。 「聞いてほしい話があるんだけど……」 「ど、どうせ『好きだ』とか言うんでしょ!?」 「そんなんじゃないな」 「だったらなによ!?」 「付き合ってくれ!」 愛川さんは目が回ったかのように、フラフラとバランスを失った。 「いきなりなんてこと言ってんのよ、このバカ!」 「無理なのか……?」 「最近不景気なのよ!」 関係ないと思う……。 「とりあえず無理なんだな?」 「まだ……アンタのこと好きじゃない……けど、嫌いじゃない」 「なるほどね。この間も言ったけどさ、僕を好きになってもらえるように頑張るからさ、愛川さんも……あの……なんというか、その……」 「分かったわよ! わたしもアンタのことがす、すすす好きになれるように努力してやってもいいわ!」 あの夜にあんなことを言っていた愛川さんと付き合うのは、なかなか難しいと思う。理由はないが、なんとなく僕の勘がそう告げている。 「なぁ、明日テスト発表じゃん? だから勉強見てくれねぇか?」 「いいわよ。べ、別にテストのこと以外に教えてほ――あーもー!」 「オッケーなんだな?」 「そ、そうね!」 無言でガッツポーズ。 「それじゃあ、色んなことでも教えてもらおっかな~」 「い、色んなこと!?」 「色んな教科って意味だったんだけど……」 「それくらい分かってるわよ!」 分かってなさそうだったのだが……。
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