1099人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふわぁ~!」
午前6時半。今日もいつもの時間に目が覚める。
ジャージのまま台所に行く。朝食のメニューは……焼き魚と玉子焼きくらいででいいかな。
「お~、我ながら見事に完成したな」
自画自賛。
「いただきます。……うぉ、前よりうまい!」
料理がどんどん上手くなっているのが、自分でも分かる。1ヶ月前まで玉子焼きすら作れなかったのに、若者はのみこみが速い。
自分の部屋に戻り、制服に着替え今日の授業の準備を始める。
「うしっ、さっさと行こうか!」
グルグル巻かれたイヤフォンをほどき、iPodを胸ポケットに忍ばせる。
「あれ、もう誰か来てる……」
いつもは誰もいない早い時間だが、今日はもう誰か来ている。
「あ、愛川さん……」
「あー、やっと来たー」
……えっ、まさか僕を待ってたの!?僕がこの時間に来ているのを知っている。さらに昨日は古典の教科書を愛川さんと机をくっつけて見せた。間違いない、これは告白だ!
高ぶる僕のテンション。一体どんな言葉で告白してくれるのだろうか。
「高原くんに大事な話があるの……」
キター!大事な話ったらやっぱり告白だ!
いや待て。昨日の回覧板の件もあるし……。
「な、なに?」
「あのね――」
愛川さんは顔を赤くして手を組んだりほどいたりする。……可愛い、可愛すぎるぞコノヤロウー!
「古典のノートを見せてくれないかな~、と思って。昨日ノートも忘れちゃってたから……」
「からの~?」
「古典のノートを見せてください」
告白、じゃない。そんな……。
「それは全然いいんだけど……」
言うか、言わないか。今言うと授業に集中できそうにないし……。でも、教室にいるのは僕と愛川さんだけ。絶好のチャンスだ。……よしっ!
「僕と付き合ってください!」
「無理!」
即答かよ!?即答されると深く傷つく……。少しくらい考えてくれても……。
「メアドなら教えてもいいよ」
「え、マジで!?」
ヨッシャー!
愛川さんは胸ポケットから携帯を取り出した。
「さっさと携帯出しなさいよ」
「は、はい」
赤外線受信にして愛川さんのメアドをGET!生きててよかったー!
「アンタのメアド送んなさいよ」
「はいっ!」
軽くテンパってしまっている僕。愛川さんのメアドをもらったし、池っちにでも自慢しよう。
「ありがとうございました!」
「べ、別に礼なんていらないわよ!」
最初のコメントを投稿しよう!