十五夜に舞姫は舞ふ

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「当たり前よ。本気であんたのデコに当てたもの。あんた、自分だけが特別だって思ってない? 自分は有名な家の息子だから誰よりも上手くできなきゃいけないとか思っているでしょ?」  少女は優馬の額にチョップしたことはちっとも悪いと思っていないらしい。そんなことよりも彼女は別のことで腹を立てているようだ。彼女は大きく息を吸い込むと叫んだ。 「うぬぼれんなぁぁぁぁぁ! そんな天才みたいなことできるわけないんだよ。そんなこと気にしてやっている奴は馬鹿だ。ただの馬鹿! 親の期待なんて無視していいんだよ。寧ろ、ドンドン裏切ってやれ。期待外れっていわれて、次は見返してやるって思っていればいいじゃん。本当にあんたって馬鹿なのね。こんなんが私の相手役? これがあの有名な月見祭の舞姫? 期待して損したわ」  少女は言い終わると涙を流した。悔しそうに下唇を噛み、優馬を見つめる。
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