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「なんで、あんたに踊りの指導を受けなきゃならないのよ!」
少女――香坂朱里は叫んだ。
「なんでって、役の合わせる場所を確認したいからって……。あぁ!」
優馬は朱里の動きを見ながら腕時計を確認すると叫ぶ。時刻は午後七時を過ぎていた。
本来、月見祭の舞のプログラムは午後六時から始まり、午後九時には終了する予定だ。優馬たちのやる月見の舞はそのプログラムのちょうど真ん中の七時にやるはずだったが、先程、由紀子の許可で最終の八時半の時間になった。勿論、本人たちには伝わってないが。
「もう始まっているじゃないか! 着付けは遅くても開始三十分前からじゃなきゃ間に合わないのに……」
「大丈夫よ。まだ間に合うでしょ? だってこの場所、着付け場所から五分もかからないじゃない。だったら大丈夫」
朱里はニヤリっと笑みを浮かべて笑う。
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