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「その姿、綺麗だね」
「当たり前よ。あんたも似合っているわ。さっきの泣き虫野郎とは大違い」
朱里はそっぽを向くとぼそぼそと呟く。彼女は優馬に聞こえないように呟いたつもりだったが優馬には聞こえていた。優馬は嬉しくなって彼女の手を握る。
「なっ、いきなりなに?」
「僕、香坂さんが今日のパートナーで良かった。久しぶりの舞台だけど今は全く緊張してないんだ」
「そうじゃあ、今日は私の足引っ張んないでよね」
「勿論! ブランクはあるけど踊りは覚えているよ。ほら出番だ。では姫、一緒に参りましょうか?」
優馬は一回朱里から手を放すと、もう一度手を差し出す。
「ええ、参りましょう。あなたとともにどこまでも。今だけ覚めない夢を」
朱里はゆっくりと優馬の手に自分の右手をのせると、二人はゆっくりと光の中へ歩いて行った。
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