十五夜に舞姫は舞ふ

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 優馬の家は町内でその名前を知らない人はいない有名な日本舞踊家だ。優馬はその家の一人息子で次期後継者である。幼い頃は母から様々な踊りを教えてもらい、この祭りでそれは素晴らしい舞を披露していた。しかし、中学二年になった今、何故か事あるごとに稽古をサボり、母親も手を焼いていた。  対して、修平は優馬の昔からの幼馴染だ。彼も優馬と同じ時期から彼の母に踊りを教わり、幼い頃は優馬とどちらが早く踊りを覚えられるか勝負をしたライバルでもあった。  今回、優馬の母が修平に説得を頼んだのは彼に頼めばまた優馬が踊ってくれるのではないかという考えからである。  しかし、彼が一週間前から説得しても優馬は逃げてばかりでこのような追いかけっこが当日の今日まで続いていた。
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