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隣の吉野が置屋に売られることになった。
俺と同い年、まだ11歳だというのに。
弟の真が行かないでと泣いている。
無理もないよな。7歳じゃわかりっこない。
「置屋ならお姐さんたちに読み書きも教われるし。」
そう言って健気に笑う吉野は美しかった。
さよなら。
初めて好きになった女の子。
大人になっていつか迎えに行けたら…。
姉がいなくなって寂しいのか、真は俺のところにしょっちゅう遊びに来た。
清ちゃん、清ちゃん、とどこに行くにも俺の後をくっついてきて、いつしか清太郎の金魚のふんとまで呼ばれた。
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