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そうは言っても、いちばん下っ端の丁稚なんかに遊んでいる余裕なんかない。
掃除、洗濯に始まって、親方のお使いにお内儀さんの手伝い、兄弟子たちの世話と朝から晩まで働きづくめ。
真の姿が目の端に入ってもかまってやることなんかできなかった。
「おう、清太郎の金魚のふんか。また来たのか。」
あまりにちょくちょく来るものだから、親方や兄弟子たちに顔を覚えられてしまった。
「坊主、ちょっとこっち来い。」
親方に呼ばれておずおずと近づいていく。
「薄汚れてるがきれいな顔だな。今度の人形はお前で作ってみるか。」
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