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部屋はある程度綺麗にしてあるし、猥褻な本を非猥褻な本の後ろに隠すぐらいの恥じらいだって備えている。 着替えの際は、カーテンを引いて公開ストリップにならないよう気を配る常識だってあるのだ。 善良で人畜無害な僕は、スニーカーを履き玄関を出た。 途端に吹き込んだ風に、フードを持っていかれる。 とりあえず、玄関の鍵を閉めてから、再びフードを被り直した。 自分の足元だけが見える世界が好きだ。 僕だけの小さな箱庭。 小さな孤独。 だからこそ、部屋の衣装ケースはフード付きの衣服ばかりが占領してしまっているわけだ。 この持論はあまり理解してもらえない。 周囲は僕を不思議系と呼ぶが、不思議なことなど一切ない。 もう少し、謎めいたミステリアスな魅力を放っていたなら、今こうして、学校への道程を一人で歩いてはいないだろう。
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