序幕:出逢いとは、必然に

41/47
前へ
/52ページ
次へ
香は申し訳なく思った。 私はこの人達に迷惑をかけているのかもしれない、と。 だけど私はここで引く訳にはいかないのだ。 「───とにかく、詳しいことは暇がある時に話す。身の回りの事は斎藤でも総司にでも訊いてくれ」 面倒臭そうに頭をかくと、土方は立ち上がる。 「……分かりました」 香はそう返事をすると、部屋を出て行く土方へ深く頭を下げた。 「土方さん!ちょっと待って下さいよ!」 総司は慌てて立ち上がると、土方の後を追った。 部屋に香と斎藤、二人だけが残され、怖いくらいに静かになった。 「…………………」 重たい空気が流れ始めた時、ふと斎藤が口を開く。 「……お前は何も迷わなくていい」 「……え?」 ・
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

301人が本棚に入れています
本棚に追加