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「本当は、2人きりでと思っていたんだけど…
実はね~拓司に会いたいって人がいるんだ」
「はい?私にですか?」
「ああ。友人の会社で働いている人なんだけど…
酒巻 龍巳って人、知らないかな?」
「!!!」
その名前を聞いた途端、拓司の心臓は、飛び出しそうになった。
知らないわけがない。今朝みた夢に出てきた人物の名前だ。
しかし、もう何年も会っていない。会わないようにしていたのだ。
「…っ、なぜ兄が…」
古城の兄は、動揺する拓司の目をジッと見つめた。
「酒巻って名字は変わっているからね。友人と話していたら、会社にいるって聞いてね。お会いして話をしたよ。
お兄さんと拓司、もう何年も会ってないそうだね。今までの想いを話したいらしいんだ。
そこで、オレが役に立てばと思ったんだが…」
拓司は、黙ったまま、うなずいた。
兄の事は、嫌いではない。優しい兄たちで、大好きだったのだ。
しかし、あの出来事…
拓司の身体を開発して、身体を繋げるようになってしまった。それは、ずっと心の中に残る複雑な思いだった。
3番目の兄とは、7歳違い。現在は42歳だ。
もう互いに、いい大人なのだ。
いいキッカケだし、とにかく話をしてみよう。
拓司は、兄と会おうと決めた。
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